ここ数年、「リスキリング」という言葉を耳にする機会が急激に増えました。以前は「リカレント教育」という言葉が主流でしたが、現在ではどちらも一般的に「大人の学び直し」として認識されています。
しかし、企業側の視点に立つと、リスキリングの捉え方は業界の環境によって大きく2つのパターンに分かれています。
1. 業務転換を伴う「生存戦略」としてのリスキリング
IT・通信・製薬・金融など、ビジネス環境の変化が激しい業界では、競争激化によって既存の仕事や部署そのものが消滅してしまうことがあります。
そうした場合、社員は新規事業や全く異なる部署へ配置転換されます。例えば、「長年開発を担当していたが、新部署ではゼロから営業として活躍してほしい」といったケースです。ここでは半年から1年ほどの期間をかけ、新たな職務でパフォーマンスを発揮するための知識・スキル・マインドを徹底的に身につける本格的なトレーニングが行われます。これが本来の意味でのリスキリングです。
2. 将来に備える「自己研鑽」としてのリスキリング
一方、環境変化が比較的緩やかな業界では、「今後の変化に備えて、社員に自律的に学んでもらうこと」をリスキリングと呼ぶ傾向があります。これは従来のリカレント教育とほぼ同じ意味合いであり、現在の多くの日本企業はこちらのスタンスを採用しています。
生成AIの進化がもたらす「他人事ではない」未来
今はまだ後者の「自己研鑽型」が多い日本企業ですが、決して油断はできません。ここ数年の生成AIの飛躍的な進化と普及を考えると、あらゆる業界で既存の業務プロセスが根本から覆る可能性があります。
これからの時代、全く新しい職種への転換を前提とした「生存戦略としてのリスキリング」は、どの業界で働く人にとっても決して他人事ではなくなる日が近い将来、訪れる日が来るかもしれません。
